マイナ保険証の利用登録は、登録後でも解除できます。ただし、厚生労働省が公表しているのは月ごとの「解除申請受付件数」で、解除理由の内訳や公式の「解除率」ではありません。この記事では、最新件数を正しく読み解き、なぜ解除を考える人がいるのか、解除で何が変わるのかを公的情報に沿って整理します。
- マイナ保険証の登録解除申請件数と「解除率」の考え方
- 登録解除を選ぶ理由として考えられること
- 解除のメリット・デメリットと、解除しなくてもできる対策
- 申請先、解除までの期間、資格確認書、再登録の注意点
結論|解除申請は続いているが「急増中」とは断定できない

マイナ保険証の登録解除申請は現在も毎月受け付けられていますが、最新の1か月分だけを見て「解除が急増している」「多くの登録者が解除した」と判断することはできません。厚生労働省が公表する2026年7月の解除申請受付件数は9,288件です。
利用登録の解除は、マイナンバーカード自体を返納・廃止する手続きではありません。カードに付けた「健康保険証として利用する設定」を外す手続きです。解除後はマイナンバーカードによるオンライン資格確認ができなくなり、原則として加入中の医療保険者から交付される資格確認書を医療機関・薬局で提示します。
従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終了し、期限切れの保険証を持参した場合の暫定的な取扱いも2026年7月31日で終了しました。つまり、解除後に「以前の健康保険証へ戻す」ことはできません。現在の選択肢は、マイナ保険証を使うか、資格確認書を使うかです。
加入している健康保険は継続し、資格確認書を提示すれば、これまでと同じ自己負担割合で保険診療を受けられます。ただし、解除後は資格確認書の有効期限と更新・再交付の案内を保険者ごとに確認する必要があります。
マイナ保険証の登録解除件数と解除率の最新状況

厚生労働省「マイナ保険証の利用登録件数」に掲載された月次件数
検索では「マイナ保険証の解除率」がよく調べられています。しかし、厚生労働省の掲載ページで示されているのは解除申請の件数であり、「登録者の何%が解除したか」という公式の解除率ではありません。
9,288件を登録者数で割っても、正確な解除率にはならない
月間の解除申請件数は一定期間に発生した「動き」で、利用登録件数はある時点の「残高」です。さらに、申請受付とシステム上の解除完了には時間差があり、同じ月に新規登録や再登録も行われます。このため、単純に「7月の解除申請件数÷7月末の登録件数」と計算しても、厳密な解除率とはいえません。
公表されている
月ごとの解除申請受付件数。最新ページでは2026年7月が9,288件です。
公表値から読めない
解除理由別の人数、年代別の内訳、申請者全体の割合です。
断定しない
1か月の件数だけで「増え続けている」「制度離れが進んだ」とは判断できません。
したがって、この記事では「解除申請が現在も一定数ある」という事実と、「解除が急増している」という評価を分けます。過去の受付開始直後に件数が注目されたことはあっても、最新状況を説明する際は、同じ基準の月次データを並べて傾向を見る必要があります。
なぜ解除する人がいる?考えられる5つの理由

以下は制度の特徴や申請書の内容から考えられる代表的な事情です。「申請者の多くがこの理由だった」とする統計ではありません。
1.カードを受診のたびに持ち歩きたくない
マイナンバーカードを身分証明や行政手続き用として自宅で保管し、医療機関には紙の資格確認書を持参したいと考えるケースです。ただし、カードのICチップに病歴そのものが記録されているわけではなく、紛失時には24時間365日の一時停止窓口があります。不安の内容を分けて考えることが大切です。
2.高齢者施設や家族による管理を簡単にしたい
本人がカードや暗証番号を管理しにくく、家族・介助者・施設職員が受診を支える場合、資格確認書の方が運用しやすいことがあります。なお、高齢や障害などでマイナ保険証による受診が困難な方は、登録を残したままでも申請により資格確認書の交付対象となる場合があります。
3.受付機器の操作を避けたい
顔認証、暗証番号入力、情報提供への同意画面などを負担に感じ、資格確認書を窓口で提示する方法を選びたいケースです。一方、オンライン資格確認システムはほぼすべての医療機関・薬局に導入されており、「多くの施設で使えない」という説明は現在の状況に合いません。
4.医療情報の共有に不安がある
薬剤情報や健診情報がどのように扱われるか不安で解除を考えるケースです。ただし、医療機関・薬局による過去の医療情報の閲覧は、原則として本人が提供に同意した場合に限られます。情報共有を望まないだけなら、受付時に同意しない選択も検討できます。
5.デジタル機能より紙の確実さを優先したい
通院頻度、使う医療機関、本人の操作能力を踏まえ、医療情報共有や限度額適用の利便性より、紙1枚で資格を示せる分かりやすさを優先するケースです。どちらが正解かではなく、実際の受診と管理を継続できる方法かで判断します。
なお、カードリーダーの不具合などで一時的に受付できないことだけが理由なら、すぐに解除する必要はありません。マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報画面、またはマイナンバーカードと「資格情報のお知らせ」を組み合わせるなど、別の資格確認方法も用意されています。
登録解除のメリット・デメリット

登録解除のメリットは、主にカードを医療機関へ持参せず、資格確認書で受診できることです。一方で、マイナ保険証に備わる医療情報共有や窓口負担の軽減手続きなどの利便性は使えなくなります。
解除で得られること
- 受診時にマイナンバーカードを持参しなくてよい
- 顔認証付きカードリーダーを操作せず、資格確認書を提示できる
- 本人・家族・支援者の状況によっては、紙の書類の方が管理しやすい
- 医療機関でマイナ保険証を使った情報共有は行われない
解除で失うこと・増える管理
- 同意に基づく薬剤情報・健診情報などの医療機関との共有
- 限度額適用認定証を事前申請せず、窓口負担を限度額までに抑える仕組み
- 救急時に医療情報を活用できる機能
- 資格確認書の有効期限、更新、紛失時の再交付の管理
解除するのは健康保険証としての利用登録であり、マイナンバーカードやマイナポータルそのものを廃止する手続きではありません。一方、医療機関でマイナ保険証としてオンライン資格確認を行い、同意に基づいて薬剤情報などを共有する機能は利用できなくなります。
解除しなくても資格確認書を申請できる場合がある
高齢、障害、施設での管理などの事情によりマイナ保険証での受診が困難な方は、利用登録を解除しなくても、加入中の医療保険者へ申請して資格確認書の交付を受けられる場合があります。「カードの登録は残したいが、普段の受診は紙で行いたい」という場合は、解除申請の前に保険者へ相談してください。
マイナ保険証と資格確認書を持てる条件は、マイナ保険証と資格確認書は併用できる?で詳しく整理しています。
解除後はどうなる?資格確認書と再登録

解除を希望する場合は、マイナポータルの設定画面から直接オフにするのではなく、原則として現在加入している医療保険者へ申請します。申請方法は保険者ごとに異なり、窓口・郵送に加えて独自の電子申請を用意している自治体もあります。
- 加入中の医療保険者を確認する
市区町村国保は自治体、後期高齢者医療は自治体または広域連合、会社員は協会けんぽ・健康保険組合・共済組合などが申請先です。 - 解除申請書と本人確認書類を準備する
必要書類、代理申請の可否、窓口・郵送・電子申請の対応は保険者公式サイトで確認します。 - 資格確認書の交付時期を確認する
保険者は、解除後の受診に切れ目が生じないよう資格確認書を交付します。届く時期と、解除完了までの受診方法を申請時に確認してください。 - マイナポータルで解除完了を確認する
保険者が中間サーバーへ登録した後、原則として翌月末に解除されます。申請から画面反映まで1~2か月程度かかる場合があります。
以前の保険者へ解除申請したことを新しい保険者へ伝え、資格確認書の交付について相談してください。連携に通常より時間がかかることがあります。
資格確認書の有効期限は一律ではない
資格確認書の様式、有効期限、更新・再交付の取扱いは加入する保険者の案内に従います。「全国一律で発行日から最長1年」とは限らないため、届いた資格確認書の券面を確認してください。資格確認書は単体で保険資格を確認する書類であり、「資格情報のお知らせ」とは別物です。資格情報のお知らせは、原則として単体では受診に使えません。
解除後も再登録できる
解除が完了した後でも、マイナポータル、セブン銀行ATM、医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーから再び利用登録できます。再登録の操作はマイナ保険証の紐付け・登録手順、資格確認書が届かない場合は資格確認書はいつ届く?を確認してください。
よくある質問|解除前に確認したいポイント

- Q.マイナポータルから登録解除できますか?
- A.全国共通の解除操作をマイナポータルから行う仕組みではありません。加入中の医療保険者へ申請します。ただし、自治体などが独自の電子申請を用意している場合があるため、申請方法は保険者公式サイトで確認してください。
- Q.登録解除はすぐ反映されますか?
- A.即時ではありません。厚生労働省の運用では、保険者から中間サーバーが解除依頼を受け付けた日の翌月末に解除されます。申請受付からマイナポータルへの反映までは1~2か月程度かかる場合があります。
- Q.解除申請中でも受診できますか?
- A.保険資格がなくなるわけではないため受診できます。解除完了までに使うものと資格確認書の交付時期は、申請時に保険者へ確認してください。資格確認書が届いた後は、医療機関・薬局で資格確認書を提示します。
- Q.解除すると昔の健康保険証へ戻れますか?
- A.戻れません。従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終了し、期限切れ保険証の暫定対応も2026年7月31日で終了しました。解除後は資格確認書を使います。
- Q.登録解除後に再登録できますか?
- A.できます。解除完了後に、マイナポータル、セブン銀行ATM、医療機関・薬局のカードリーダーで再登録できます。解除状態が反映される前に操作せず、まずマイナポータルの申込状況を確認してください。
- Q.家族全員を一度に解除できますか?
- A.利用登録は一人ひとりのマイナンバーカードに対する設定です。家族分を申請する場合も、対象者ごとの申請書や本人確認、代理権確認が必要になることがあります。加入先の保険者へ確認してください。
まとめ|件数ではなく、自分の受診方法で判断する
- 2026年7月の解除申請受付件数は9,288件
- 厚生労働省は、解除理由の内訳や公式の「解除率」を公表していない
- 解除後は古い健康保険証ではなく、資格確認書で受診する
- 医療情報の共有は本人同意が原則で、解除以外の選択肢もある
- 申請先と申請方法は加入中の医療保険者へ確認する
- 解除は即時ではなく、完了後も再登録できる
解除件数が注目されていても、それだけで自分に解除が必要とは限りません。カード管理の負担、支援者による受診、情報共有の希望、高額療養費の利用などを具体的に比べ、解除しなくても資格確認書を申請できる対象かを確認したうえで判断しましょう。
